映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「ミッドナイト・イン・パリ」

ほぼ1年に1本のペースで、自分の好きな題材のコメディーを作っているウディ・アレン監督。
本作が監督42作品目となるという。
その作品群のなかでも本最新作は、わかりやすく、お洒落で楽しい作品に仕上がっている。
楽しんで作ったものは観客も楽しい、という見本のような映画。

これも「メン・イン・ブラック3」同様にタイムトラベル。
時代は1920年代黄金時代のパリ。
タイムスリップする方法が車や馬車というのが、アレン流。
監督の分身ともいえる主人公(オーウェン・ウィルソン)が、憧れの芸術家たちと夢のようなときを過ごす。
エイドリアン・ブロディ扮するダリに圧倒され、
脚の不自由で成長が止まったというロートレックは、一目本物かと思うような造形に驚く。
若きルイス・ブニュエルに映画ネタ(「皆殺しの天使」と思われる)を提供するシーンは、タイムトラベル作劇の王道。

オープニングでパリの街が映しだされるが、単なる観光場面としないところも、アレン流。
風景は雨の風景に変わる。これがドラマの伏線。
そして夜景、ミッドナイトへと、パリの魅力たっぷり。
私がパリに行ったときは、冬で寒く夜の街へと繰り出せなかったが、今更ながら悔やしい思い。

右上の宣伝チラシの図柄だが、映画には登場しない”炎の人”の絵「星月夜」とのコラボ。
この絵はパリのオルセー美術館ではなく、アレンが生まれ育ったニューヨーク近代美術館が所蔵。
このセンスも、アレン流。