映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「トウキョウソナタ」

”ボクんち、不協和音。”


このキャッチコピーが題名よりも映画の内容をよくあらわしている。


4人家族の物語。
リストラされたことを家族に言えない父(香川照之)。
専業主婦の母(小泉今日子)。
アメリカ軍隊に入隊する兄。
こっそりピアノを習っているボク。
それぞれが、不安や秘密をかかえて閉塞した現代日本を描写する。


ホラー映画が得意の”世界のクロサワ”黒沢清監督は、ここでも「自分をとりまく不安」という恐怖の現実を描く。

 

映画の最後には、ボクがピアノで弾くドビュッシーの「月の光」全曲を聞かせる。

不安を浄化するかのような名演奏で感動的。

監督はこのシーンのために映画を作ったかのようにも思えるが、これがどんなに美しい曲であっても、現実は何も解決はしないはずだ。
だが、この演奏を聞いたボクの家族は、初めてといっていいほどの感動を共有するすることができたのは確かだ。

 

”家族の絆”って、なんだろう。