映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「戦火の馬」

広大な西部の風景に騎兵隊の隊列が進む、疾駆する馬上の男たち、駅馬車を引く馬のスピード感・・
ジョン・フォード監督の西部劇映画に欠かせなかった馬。
フォード監督の馬への愛着は、英国陸軍に売った愛馬を取り戻すまでを描いた「愛馬」という作品もあることからもわかる。

スピルバーグ監督の新作「戦火の馬」は、第一次大戦下での一頭の馬が主人公の物語で、ここでも馬への愛情にあふれている感動作だ。

戦場での鉄条網に塞がれた馬のエピソードは、敵対同士が助け合うという現代では考えられない場景なのだが、かえって胸をうつから不思議だ。

旧き良き時代への思いも込められているのだろうか。

少年の眼から見た家族の姿は「わが谷は緑なりき」だし、
イングランドでロケをした美しい農村風景は「静かなる男」だし、
美しい夕日を背景にしたシーンの数々に、思わずジョン・フォード監督の西部劇映画を想い起こさせてくれた。
そんななつかしさとともに、この映画を観終わった。

今年のアカデミー賞は、「アーティスト」と「ヒューゴの不思議な発明」という”映画愛”にあふれた2作品がオスカーを分かち合ったが、同じ作品賞にノミネートされた「戦火の馬」も私にとっては、また”映画愛”にあふれた作品なのであった。