"文楽にハマっている"という若手直木賞作家・三浦しをんの最新青春小説。
エッセー「あやつられ文楽鑑賞」で、伝統芸能・文楽の奥深い世界をレポートしたと思ったら、今度は小説でまたも見事に描いてしまう。この人の才能に驚く。主人公は、文楽で太夫を語る若者。
人間国宝の師匠や変わり者の三味線弾きに鍛えられながら芸を磨く姿を、恋をからめて軽やかに描く。作中で上演される「女殺油地獄」や「心中天網島」といった名作のハイライトシーンが文楽ファンにはこたえられないが、文楽を観たことがないひとにも、わかりやすく解説しており文楽の奥深い世界を堪能できる。