”大統領を撃ち抜いた1発を、 この最新の宣伝文句(右の古いチラシ文句と違う)は、 ミステリーファンには、「観たい!」と思わせる。 大統領暗殺事件を、TV中継ディレクター、旅行者、刑事、さらに犯人等も含めてら8人の視点から事件を描く。 この映画ともかくスピード感があり、一気にハマってしまう。 終盤にはカーチェイスや銃撃戦もあるが、これはハリウッド・アクション映画の常道。 ところで、多面的な視点で描く映画といえば、黒沢明監督の「羅生門」を思いだす。
あなたは8回目撃する。”
しかも、これは映画の内容も的確に伝えている。
そして映画は狙撃事件の前後数十分間に限定しているところが面白い。
「繰りかえし見る」ビデオ時代にふさわしい手法が、新鮮に写る。
上映時間は1時間30分と短いのが成功している。2時間を越えるのが普通になってしまったこの頃、この長さ実は私には一番心地よい時間。
本筋はあくまで8人の視点で描かれたエピソードが、最後に結びついてクライマックスを迎える爽快さにある。
「羅生門」では、登場人物の証言どおりに映像化され、それぞれが食い違っていて何が事実なのか、まさに”藪の中”に陥るという手法で描く。
それだから、比べることは、まさに「バンテージ・ポイント(見晴らしの利く地点。視点)」違いといえそうだ。