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”世界のクロサワ”といえば、かつては黒澤明監督をさしていた。
だが現在は「黒沢清」監督が、そう呼ばれている。
監督が新作をが発表するたびに、ヴェネチア国際映画祭やカンヌ国際映画祭に招待作品として日本公開前に世界に発表される監督なのだ。
世界で新作が注目される日本の監督は、もうひとり”KITANO”北野武監督がいる。
その黒沢清監督が自ら脚本も書き、役所広司、小西真奈美、伊原剛志、葉月里緒奈、オダギリジョー、加瀬亮というスターキャストで作った最新作が『叫(さけび)』である。
宣伝には「初の本格ミステリー」とあるが、実際はホラーというか、幽霊の映画というか、分類は困難。分類することに意味はない。
舞台は東京の湾岸地帯。開発が進んだ場所ではなく、廃墟の場所、ビル、液状化した不安定な地盤、水溜りや無人の道路などが背景。
この異様な雰囲気のなかで幽霊(葉月里緒奈)がからむ。
連続殺人事件を追う刑事(役所広司)は自分が犯人なのかと・・・追い詰められ、恐怖を感じる。
ストーリーだけ聞けばばかばかしいような話だが、そこは、世界のクロサワ監督だけに、現代人や文明の不安感を画面に滲み出しあふれさせてくれる。
恐怖や不安感の映像化がこの映画の見どころ。
なるほど、これまで「CUREキュア」(97年)や「回路」(01年)といった作品と同様、いま現在という時代を映す鏡の作家として撮っている監督であることがわかる。
だから北野武とともに世界で注目されるのだ。
それにしても洋画より邦画が元気だ。
今年これまで映画館で観た映画は9本だが、うち5本が邦画。
数年前までは、圧倒的に洋画が優位だったのが嘘みたいである。
いま邦画がオススメ!