「下妻物語」(04年)で異彩をはなった中島哲也監督の最新作「嫌われ松子の一生」を観た。
父親が姉ばかり愛すると思う子供時代から、金銭トラブルで教師の職を奪われ、、暴力男に貢ぎ、ソープ嬢、ヒモ男を殺して刑務所に、かつての教え子のヤクザと同棲、ひひきこもり生活から撲殺されるまでの一生を描く。
映画は、松子(中谷美紀)の撲殺死体から始まる。
死体が語るところから始まるビリー・ワイルダー監督の「サンセット大通り」(50年)、死亡した人間を追いながら一生を描くオーソン・ウエルズ監督の「市民ケーン」(41年)の往年の傑作にひけをとらない独特の構成と語り口がうまい。
お話は松子の不幸な人生だが、あくまでポップに、ミュージカル仕立てで、明るく笑い飛ばす。
脇を固める俳優陣がいい。柄本明、香川照之、市川実日子、ゴリ、宮藤官九郎、劇団ひとり、らの名演や快演を見るだけでも楽しい。
そして最後に、松子の一生は、「人間の思いは、なかなか相手には伝わらない」というメッセージとなって観客の心をゆさぶる。
「不幸って何?」
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この映画の公式ホームページで、劇場予告編のほか、劇場特報3本、TVスポット予告編2本を観ることができる。さすがCM界の巨匠といわれる中島哲也監督だけあって、予告編もうまい。