映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

歌舞伎、恐るべし

本日、歌舞伎座で二月大歌舞伎・昼の部を観て来た。

坂田藤十郎襲名披露公演が終了しても、ほぼ満員の客席で、歌舞伎人気は衰えていない。

「極付 幡随長兵衛」の幕があがると、そこは江戸歌舞伎の村山座。当時の芝居小屋そのままに、荒事が演じられる。長兵衛(中村吉右衛門のはまり役)が客席後方から登場したり、黒御簾上段から桟敷席の旗本(尾上菊五郎)が現れたり、芝居と客席が一体となった舞台演出も見所だ。

この劇中劇を使った舞台演出というと、ミュージカル「オペラ座の怪人」におけるアイーダ風オペラやモーツアルト風の喜劇オペラが秀逸であったが、わが国では河竹黙阿弥の時代にすでに取り入れていたのだ。

「一谷嫩軍記」では、熊谷が敦盛の首を討つ場面で、浪幕が落とされる歌舞伎演出の工夫があるが、「ロシアの映画監督エイゼンシュタインは、この舞台を見てモンタージュの手法を思いついたそうだ。」(「歌舞伎座掌本」2月号より)。

歌舞伎の舞台、恐るべし。