映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

山田芳裕著「へうげもの 9服」

茶の湯と物欲に魂を奪われた戦国武将・古田織部
 天才・信長から壮大な世界性を、
  茶聖・千利休から深遠な精神性を学び、
 「へうげもの」への道をひた走る。”

山田芳裕のコミック「へうげもの」は、茶の湯の世界から戦国時代を描いた作品。

主役は古田織部
茶人として造った「織部焼」が、当時「瓢軽(ひょうげ)」と評されたことから作者が「へうげもの」と名づけたもの。
信長、光秀、秀吉、利休たちが迫真の描写力で生き生きと描かれる。

この9巻(茶の湯の世界だから9服)では、利休の壮絶な最後が描かれる。
利休の死の直後、見開き2ページを連続して使って描くレクイエムは、圧巻。

そして、利休の死後に訪れる突然の茶の湯の革新。
徳川の必死なゆがんだ姿をみて、織部は悟る。
"ひずむを待つでなく、自らゆがませるのだ!!”
と、自分が作っていた茶碗を”グッ”とゆがませる。
これが、あの「織部焼」として後世に残る傑作茶器誕生の一瞬なのだ。
輝く誕生を祝うような日の出シーンで、この9服は、終わる。

次巻(10服)が、待ち遠しい。