「日航再建、政府主導で練り直し 支援機構を活用」と 日経がトップニュースで伝えるなか、まさに時機を得た映画の公開。 制作(総指揮は角川歴彦)スタッフに拍手! 映画でも、企業の放漫経営ぶり、首相自ら再建のための会長(石坂浩二)選任や、その後の再建中断に至る経緯が描かれ、取締役や企業体質があぶりだされていて、今回のニュースを改めて考えさせられた。 私は原作者の山崎豊子ファンで、著作はすべて読破している。 ドラマは、NAL組合委員長で左遷されるが、自らの信念を貫く恩地(渡辺謙)と、同僚ながら対照的にエリートコースを歩む行天(三浦友和)のふたりを軸に進む。 転勤拒否せず、念書を書かない男と出世のためには何でもする男。やや図式的ではあるが、それぞれの苦悩も描かれていて、同じ高度成長時代をサラリーマンとして過ごしてきた私にも十分共感できる展開であった。 豪華キャスト陣もみどころで、久しぶりに観た骨太の日本映画大作を楽しんだ。
映画では国民航空NALとしているが、御巣鷹山事故がドラマの核で明らかにJALを描いたものとわかり、この時期に、よくぞ映画化できたものだ。
この長編小説を、うまく映画にまとめたと、まず感心する。
3時間22分の長作だが、人物描写が的確に描かれているうえ、うまい起伏ある展開で、終わりまで飽きさせない。
監督は、若松節朗。「振り返れば奴がいる」「やまとなでしこ」「救命病棟24時」などテレビドラマを多く手掛けてきたベテランだけに、ドラマ造りの壺を抑えている。