映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

市川崑とヒッチコック

昨日、市川崑監督が亡くなった。

高校生時代に「おとうと」「破戒」等すべて封切で観ていて、その斬新な映像に酔いしれ、監督にファンレターまで出した。
犬神家の一族」で、すっかり有名になった独特のレタリング・タイトルも大好きで、監督からいただいた年賀状は私のお宝。

映画が好きで好きでたまらない職人監督。
アルフレッド・ヒッチコック監督と、似たところが多い。

(1)実験精神が旺盛な、映像の職人である。
ヒッチコックの「救命艇」 は、海上に漂うのボートの人間たちだけを描いた。
市川崑は、「太平洋ひとりぼっち」で、ヨットの堀江青年ひとりを描く。
両方ともとても映画の題材になりにくいものだが、果敢に挑戦した。
むしろ実験を楽しんで作っている。

(2)映画の敵だった時代にテレビに積極的に進出した。
ヒッチコックは、1957年にテレビシリーズ「ヒッチコック劇場」で、毎回自ら出演し、時に監督も。大ヒット番組となった。
日本でも、連続テレビ時代劇「市川崑劇場・木枯し紋次郎」(フジテレビ)は大ヒット。

(3)私生活でも共通点。
よき伴侶が、監督の作品選び、脚本面での名アドバイザーだった。
ヒッチコック夫人は、監督の名アドバイザーで有名。
市川崑夫人の和田夏十は、全盛期のほとんどの脚本を担当した。

最後に、市川崑監督らしさ満開の作品をあげる。
  ☆「日本橋」(1956年)泉鏡花の名作を初のカラー作品で実験的に描く。
  ☆「雪之丞変化」(1963年) 長谷川一夫山本富士子主演のスタイリッシュな時代劇。
  ☆「悪魔の手毬唄」(1977年) ご存知金田一耕助シリーズ。岸恵子がいいぞ。