”「紋次郎」と「必殺」が真っ向勝負した、あの時代。
日本のハリウッド・太秦で、時代劇を守り続けた人々がいる!”
筆者の春日太一は31歳で、テレビ時代劇の名作
「木枯し紋次郎」も「必殺」シリーズもリアルタイムで見ていないという。
そのライフワークにふさわしい情熱の力作である。
1960年代後半、日本映画産業の衰退とともに、時代劇が切り捨てられるなか、京都太秦撮影所はテレビにその活路を求めた。
そして、「紋次郎」は、「数々の世界的グランプリの賞を獲った最後の職人たちが妥協のないやり方で撮った」テレビ史に残る名作となった。
次のヒットシリース「必殺」は「その最後の職人たちの次の世代」の若い人が新しい映像を作ったという。
「次の世代」といえば、現在日本映画界を支えている二人の監督
「おくりびと」の滝田洋二郎や
「それでもボクはやってない」の周防正行は、
時代劇ではないが、ともにピンク映画で監督デビューしている。
当時斜陽となったピンク映画最後の若手で、いまや、立派に次の世代を担ったことになる。
不況産業の乗り切り方までも示唆するお奨めの一冊だ。