映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「風立ちぬ」

公開寸前まで映像が公開されなかったが、直前になって映画館で4分の特別予告編が公開された。

荒井由実が歌う「ひこうき雲」がゆるやかに流れ(だから終わるまで4分かかる)、紙飛行機、蒸気機関車、船、豊かな自然、風、青空といつもの世界へと誘う。
”かつて日本で、戦争があった。”
1920年代の日本は、不景気と貧乏、病気、そして大震災と・・”
最後に、”堀越二郎堀辰雄に敬意を込めて。”

零戦設計者堀越二郎をモデルに、堀辰雄の小説をからめて、宮崎駿の「原作」で、脚本・監督した作品。

予告編の内容そのままに、あの”まことに生きるには辛い時代”に生きた二郎の姿に、感動させられた。
病に伏した菜穂子の右手と二郎の左手をしっかりと握りながら、右手ひとつで計算尺をあやつる姿。この計算尺は、骨折の応急手当でも活躍したものだ。

二郎の声を演じた庵野秀明が朴訥で好感。
他の脇役陣に一流を集めているだけに、プロたちのつくりものではない味わいがある。
アニメがCG中心の時代に、手作り感を固執しているスタジオ・ジブリの姿勢が一貫している。

初めての実在の人物を描いて、零戦設計者という立ち位置に挑んだ”人間・宮崎駿、72歳の覚悟”が十分に伝わる、いい映画だ。

風立ちぬ、いざ生きめやも。”