映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

ゲド戦記

スタジオジブリ製作のアニメ映画「ゲド戦記」を観てきた。



映画が公開される相当前から何回も映画館で予告編が流されていた。

新人の手嶌葵が歌う主題歌がいい感じで流れ、

この映画のテーマであろう「いのちを大切にしない奴なんて、大嫌いだ!」というセリフ、

そして、ナレーション「宮崎吾郎第1回監督作品」と。

予告編では、主題歌、テーマ、監督が明快に示されていた。



この予告編で語られるテーマは、映画のなかでは必ずしもストレートに伝わってこない。脚本がこなれていないので、セリフが生きていない。

そして登場人物が魅力に乏しい。

宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」(84年)での風使いの少女や、「となりのトトロ」(88年)に登場する生き生きとして魅力ある登場人物がこの映画には出てこない。



スタジオジブリ作品の魅力のひとつは、アニメでしか表現できない映像。

なかでも「飛翔」する場面の爽快感が大きな衝撃であったが、この映画にはそれもない。

高畑勲監督の「おもひでぽろぽろ」(91年)での山形のいなかの風景の美しさや、ラストシーンの幻想的な感動もなかった。



予告編で必ず語られた「宮崎吾郎第1回監督作品」というのは、ひょっとしたら、「宮崎駿高畑勲が中心に活動してきたスタジオジブリ作品とは違います。これは宮崎吾郎個人の作品なのです。」と言いたかったのか、と思わざるをえないほどスタジオジブリ・ファンの期待を裏切る作品であった。



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