映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

三橋節子「雷の落ちない村」

私が大切にしている絵本がひとつある。

三橋節子作・絵の「雷の落ちない村」(小学館。1977年)である。



先週のNHKテレビ「新日曜美術館」で、『永別の自画像・日本画三橋節子。がんで利き腕を失った画家の奇跡の物語。』

また昨年12月にテレビ東京美の巨人たち」でも『これからを期待されながら35歳の若さで夭折した三橋節子の奇跡の物語。』

と、立て続けに三橋節子の特集番組が放映された。



番組では、夫が自分の決断で妻の節子にがんを告知したこと、利き腕ではない左手で絵を描き始めたこと等が、夫が登場して淡々と語り、胸を打つ内容だった。



私は三橋節子という画家を、梅原猛著の「湖の伝説」を読んではじめて知った。

そして奇跡の物語に感動した。



鎖骨腫瘍のため絵描きの生命線である右腕切断の手術を行なう。

それから2年後に死を迎えるまで、左手で絵を書きつづけた。

そして死を悟っていた節子は二人のわが子に絵本を1冊残す。

それが「雷の落ちない村」である。

やがておとずれるわが子との死別の悲しみを湖の伝説に重ねて描く、作者渾身の絵本である。



節子の生き様、これまで映画化されなかったのが不思議なほど。