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歴史映画を観る楽しみのひとつは、映画の舞台となった場所や時代を体感できること。
映画「マリー・アントワネット」も、フランス革命前夜時代、実際にヴェルサイユ宮殿で撮影された宮廷世界にたっぷり浸ることができる。
その豪華絢爛たる背景とはうらはらに、アントワネット自身は孤独。
寂しさを紛らすために、子犬を愛し、お菓子を食べ、洋服や靴選び、ギャンブルやパーティー三昧に加えて、浮気と、その素顔を生き生きとポップアートのように描く。
これこそが映画の主題。
この映画には、甘い恋物語はなく、ドラマチックな展開もない。
従って、あの『ベルばら』ワールドを期待してはならない。
アントワネット役は、「スパイダーマン」の恋人役でおなじみのキュートなキルスティン・ダンスト。一抹の寂しさをにじませて好演。
監督は才女ソフィア・コッポラ。
これまでのアントワネット像とは違う人間味ある悲劇の人生を見つめる視点が新しい。
バロック音楽にポップやロックがかぶさり、音楽センスも良く、才女監督の世界を充分に楽しめる。