6歳の少年（右ちらしの写真がファーストシーン）の成長とともに、同じキャストで12年にわたって撮り続けたという異色の劇映画。
このような斬新な映画を初めて観た。
驚きと感動がいっぱい。
12年にわたる物語なのだから、普通なら「6歳」とか「7歳」とかクレジット画面がありそうなのだが、それもなく進行する。
しかも現在の状況を補足するようなナレーションもない。
ただ映像と会話だけのカットで延々とつなぐだけで、むしろそれが家族の歴史を雄弁に物語るのだ。
若かった母親も顔に皺がでてきて、現実が画面に記録されていく。
大人たちの12年に比べて、子供の成長は、さらに速い。
姉は小さい頃はどんどん成長するが、思春期あたりで止まったよう。
少年のほうは、顔や身体の変化が著しい。タイトルどおり「大人」になっていく過程に驚く。
6歳の少年は18歳となり、「大人」になったことがわかる会話を聞いて安心し、母親の涙の理由が痛いほど分かるのだ。
この映画の予告編では、少年の12年の変化がわかる。
映画を観た後に予告編を観ると、まるでアルバムをみているように、少年時代（原題”boyfood”）がなつかしい。
水泳、ボウリング、自転車乗り、車のなかでの姉弟の悪ふざけ・・・
離婚社会、銃社会、アル中といった社会問題やビデオゲーム、オバマ、ハりー・ポッターなどの社会現象、その時代も巧みに切り取っていた。
監督は、「恋人までの距離」「ビフォア」シリーズのリチャード・リンクレイター。
斬新な家族映画の傑作。
