映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「ダラス・バイヤーズクラブ」

エイズが、同性愛者の病気で、接触感染する恐れがあると信じられていた1985年。
HIV陽性と診断され、余命が30日だと言い渡された電気工でロデオカウボーイのロン(マシュー・マコノヒー)は、性同一性障害エイズを患うレイヨンジャレッド・レトー)と共に国内未承認の薬を会員に無償で配る「ダラス・バイヤーズクラブ」を設立する。
だが、この活動は、政府や製薬会社を敵にまわすこととなる。

同性愛者を嫌悪するロンは、仲間から誤解され差別されて初めて弱者の立場を思い知る。生きるための行動が政府や製薬会社の欺瞞を見つけ出す、といった過程が丁寧に描かれていて、いつしか社会活動家に変身していくロンの姿に観客は声援をおくってしまう。

この素晴らしいキャラクターを、21キロも減量したマシュー・マコノヒーが、ある時は弱弱しく、ある時は滑稽に、ある時は暴力的に演じ、アカデミー賞主演男優賞も納得。
助演男優賞を得たジャレット・レトも、ロンを見つめる眼、その感情表情が凄い。

余命30日を7年生き抜いた実在の男の壮絶な人生に共感した。
アメリカ映画の底力を見せつけられた一作。