映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「かぐや姫の物語」

スタジオジブリ高畑勲監督が、日本の古典「竹取物語」を題材に描く最新アニメで、見応えあり。

短い原作を2時間17分に仕上げたが、全く飽きさせない。

水彩画のようなタッチで丹念に描く前半の山里の描写が実に素晴らしい。
高畑監督の原点であるテレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」のように大自然を駆け巡る“たけのこ”と呼ばれる姫。少年との出会い。
だが、このあふれる幸せも一転する。
それは竹の中から授かった金と豪華な衣。
竹取の翁は、姫の幸せを願い、金で”高貴”を買うのだ。
高貴な姫君となる修行は退屈そのもの。求婚する貴族たちには幻滅。悲しい日々。
姫の怒りは一転水墨画のような鋭い墨で描写するが、驚異の筆致。
月へ戻る日が近づく。
思い出すのは、あの山里での日々・・
決してお金では買えないものが、身近にあった。
少年との再会の喜び。ふたりが空を飛ぶジブリ作品の定番場面も登場。
今や失われつつある日本の豊かな山里。これを古典に借りて描きたかったのではないかと思えるほど丹念に描写している。
平穏な月の生活と比べて、地球の生活は賤しいのか?
いや、そんなことはないよ。ただお金が人間を賤しくすることがあるよ。

壮大な古典文学は、地球にも素晴らしいものがあると教えてくれる。
そんな解釈もできそうなアニメでしか表現できない世界を堪能しました。