映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

題名の意味とは? 「心中天網島」

心中天網島」(しんじゅう てんの あみしま)は、近松門左衛門作の文楽で、歌舞伎でもたびたび上演されている。
紙屋治兵衛役は、藤十郎の十八番。

題名の意味とは? 

実際に起こった紙屋治兵衛と遊女小春の「心中」事件を題材にした。
悪事を働けば捕えられ天罰が下るという老子の教えである”「天網」恢恢疎にして漏らさず”の「天の網」。
二人が心中した場所は、大阪「網島」。
心中後、夜明けに治兵衛の死骸が漁師の「網」に引っ掛かったという史実。

と、この題名も奥が深い。

映画では、篠田正浩監督「心中天網島」(1969年)が有名。
その年のキネマ旬報ベスト1に選出された篠田監督の代表作。
紙屋治兵衛を若き中村吉右衛門が、小春とおさん二役で岩下志麻が主演。
黒子が重要な役割で登場し、ラストの心中を急がせる所作などドラマを盛りたてた。

そこに武満徹の音楽が、強烈な映像にダブる。
低予算のATG(アートシアター)作品だが、低予算を逆手にとっての簡素で斬新なセット、モノクロ美術の粋、その様式美に驚愕した。