歌舞伎座さよなら公演・九月大歌舞伎は、
幸四郎と吉右衛門の舞台。
この「勧進帳」を観るのは、今回で何度目となるのか。
でも、何度観てもあきない。弁慶の忠誠、主役ふたりの掛け合い、飛び六方、松葉目能舞台での背景の想像力など、どれをとっても歌舞伎ならではの演出が満載。今回は、武蔵坊弁慶を幸四郎、富樫左衛門を吉右衛門が演じるという、さよなら公演ならではの配役。
私は、どちらかというと、逆の吉右衛門の弁慶のほうが、好きなのだが。
今回の幸四郎弁慶は、よかった。
幕が閉じたあと、花道にひとりすくっと立つ弁慶。
この一瞬の緊張感が、たまらない。そして、豪快に力強い足取りで花道に。
座った席(13列5番)が花道の真横だっただけに、もう大迫力!「鞘當」「鈴ケ森」では、鶴屋南北作の様式美を楽しみ、
「松竹梅湯島掛額」では、八百屋お七(福助)の文楽人形ぶりと、
歌舞伎ならではの趣向をたっぷり楽しんだ夜の部であった。