映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

秋日和

この季節、秋になると、むしょうに小津安二郎監督の映画が観たくなる。

私が学生時代に封切りで観ていた小津作品が「彼岸花」「秋日和」「小早川家の秋」「秋刀魚の味」というように”秋”が連想されるからだろうか。

ということで、DVDで「日和」を観る。

冒頭「昭和三十五年芸術祭参加作品」と特のレタリングタイトル。

そして小作品特有の音楽(斎藤高順)が流れるだけで、

もうすっかり嬉しくなって、小津映画の世界に引き込まれてしまう。

いいですね。この作品もう何回観たことか。

お話は、小津監督と同年代の社会的地位ある会社役員や紳士の交遊と縁談話という、いつもの世界。

とにかくこの3人の紳士(佐分利信中村伸郎、北竜二)たちの会話が楽しい。現代では考えられない味のある会話。

会社を抜け出して友人の未亡人(原節子)とビールでうなぎの昼食を食べることが日常的にあった良き時代。

またこの作品では岡田茉莉子が美しく、存在も大きい。

啖呵を切るシーンや、我が家である寿司屋に3人を連れて行くシーンなど、心憎いうまさ。



たんたんとした語り口に小津監督の作家性を強く感じそれだけでも感動するが、同時にしっかり人生というものを描いていている。

それが小津作品の魅力なのだろう。

やはり秋になると小津映画は欠かせない。