"素質だけは全国レベル、態度ならメジャーレベルの豪腕高校生ピッチャー・コーキは、強豪野球部K高にプライドを蹴散らされ、真剣に野球に取り組みはじめた。だが思ってもみなかった事件がコーキたちに降りかかる!”
新鋭の三羽省吾が描く野球小説「イレギュラー」(角川書店。06.5.31刊)は、爽やかな青春小説で、一気に読んだ。
面白い。
全編、会話がなんともしゃれている。
一例をあげる。コーキのいるダメ野球部が甲子園常連のK高にグラウンドを借りに向かうときの会話。
「K高と並べるとヒドいな〜。ウチのガキどもは。『ナチュラル』と『がんば
れ!ベアーズ』みたい。いかんだろ、同時上映しちゃ。」
この『ナチュラル』(84年)は、メジャーリーグでのスタープレイヤーを描くロバート・レッドフォード主演映画。
『がんばれ!ベアーズ』(76年)は、ダメダメ少年野球チームを描くコメディー。この2本はともに野球映画の傑作として有名だ。
同時上映できないというセンスがきいている。
高校野球シーズンの夏に読めばさらに楽しめたかもしれない。