映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

クリント・イーストウッド賛

今週のNHK「BS映画劇場」は、クリント・イーストウッド特集。

私がクリント・イーストウッドを初めて観たのは、テレビ人気シリーズ「ローハイド」でのロディ役。

毎回彼が巻き起こす騒動ぶりが、このドラマを面白くしていた。

映画初出演の「荒野の用心棒」(64年)のヒットで、マカロニ・ウエスタン・ブームを巻き起こす。

あの音楽と共に現れる彼はものすごくかっこよかった。

以後「夕陽のガンマン」(65年)など従来の西部劇とは違い泥臭く人間味あふれるヒーローを演じる。そして現代西部劇「ダーティーハリー」(71年〜)シリーズでブレイクしてハリウッドの大スターに。

彼の監督第1作は、西部劇ではなく、サイコスリラー「恐怖のメロディー」(71年)。

屈折した異常心理ものを題材に独自のスタイルで撮ってしまったことに驚く。すでに長い移動撮影、カットバックやモンタージュの映画的手法が駆使されていた。

その後も多くの作品を監督する。

なかでも「アイガー・サンクション」(75年)、「ブロンコ・ビリー」(80年)、「ペイルライダー」(85年)が私のお気に入り。

私には、俳優としてではなく「監督」として映画を観るひととなった。



そして、アカデミーの作品・監督賞を勝ち取った渾身の傑作西部劇「許されざる者」(92年)。

最後の西部劇作家イーストウッドが、これまでの集大成として映画の師ドン・シーゲルセルジオ・レオーネに捧げた作品だ。時に62歳。

こんなすごい映画を撮ったらいつ死んでも本望だろうなと、勝手にうなった。

これが最後の監督作品かと思いきや、さにあらず。

なお「スペースカウボーイ」(2000年)「ミスティック・リバー」(03年)「ミリオンダラー・ベイビー」(04年)そして今年「硫黄島2部作」と、次から次へと傑作を創り出すではないか。

老いてますます人間を見つめる視点がするどくなってきた。脱帽!