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昨年のカンヌ映画祭で監督賞を受賞。今年のアカデミー賞では作品賞最有力候補といわれ、菊地凛子が助演女優賞にノミネートされた話題作だ。
モロッコ、メキシコ、アメリカ、日本という、国も人種も言語も異なる場所で進行するドラマを交互に描く群像劇。
夫婦、親子、兄弟、乳母と子がそれぞれコミュニケーションでの葛藤を描く。
日本編で役所広司と菊地凛子が親子を演じて、ラストシーンを飾る。
監督は「アモーレス・ペロス」(99年)「21グラム」(03年)のメキシコ人
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。
テーマは明快。旧約聖書に出てくる「バベルの塔」。
天に届く塔を建てようとした人間に怒り、神は人間の言語をバラバラにしたというもの。
「神は、人を、分けた。」
分り合いたいのに、分りあえない人間世界。
しかし、この不条理で不可解な人間世界でも、どこか一瞬、分かり合えるときが、ある。
このテーマだから、ずっしりと重く、疲労度の高い映画となっているが、世界の現実を眼前に突きつけた文字どおりの力作である。
終始観客をいらいらさせるような描き方は、監督のもくろみに違いない。