映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

日本美術の鑑賞方法が変わる<プライスコレクション・若冲と江戸絵画展>

アメリカのジョー・プライスが、当時の日本では見過ごさらされていた若冲、芦雪などの600点の江戸絵画を収集。

そのコレクションのなかから101点が日本に来た。

東京国立博物館で「プライスコレクション・若冲と江戸絵画展」を観てきた。

今回の展覧会が、画期的なことは、その展示方法にある。

プライスの持論は、「日本美術を鑑賞する際、光の果たす役割は非常に重要である。」ということ。

ろうそくの灯火、障子からこもれる光、夕暮れの淡い光、雨の日、曇りの日、それぞれ日本の気候に即して観る江戸絵画は、それぞれの作品に表情を与えるという。

今回は、2室分を舞台に使われるような照明器具を使って、自然光のように変化する光の効果に工夫が凝らしてある。

そして、ガラスケースを用いず、そのまま展示してある。もちろん江戸時代には、ガラスケースなどに展示して観る事はないので、当然といえば当然だが、いつもガラスケースを通して観る習慣がついた我々には、この当然ともいえる展示方法が、新鮮で、あらためて日本美術のよさを引き出すのに充分である。



初夏の夕べ、ろうそくの光から、明るくなると、一瞬、優美に羽ばたつ白鷲の姿があらわれる鈴木基一の「柳に白鷲図屏風」。

光の変化にによって、琳派のあでやかさが、際立つ鈴木基一の「群鶴図屏風」。

暗くなると、ぞっとしてくる松村景文の「柳下幽霊図」。

等々、新発見の体験と感動に満ちた展覧会であった。



見終ってから、法隆寺宝物館にあるホテル・オークラ・ガーデンテラスにて、ディナーをいただく。ワインでプライスの偉業に乾杯。