映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「アウトレイジ」

北野武監督作品はすべて観ているので、今回も逃さずにと、映画館へ。

この映画、これまでの北野映画とちょっと違う。
独特のミドルショット画面や、北野ブルーといわれる色調、流れるような移動撮影、静謐な長廻しといった非凡な映像は特にみられない。
”ストレートに作った”という監督の意図どおりの展開で、
暴力の連鎖が最後まで続き、「このやろう、ばかやろう!」と言葉の繰り返しで見せるヤクザ映画。

ヤクザ社会では階級がすべて。
本家(北村総一朗三浦友和
直参(國村隼
配下(ビートたけし椎名桔平加瀬亮
直参の義兄弟(石橋蓮司
それに刑事(小日向文世)がからむ。

この世界、上に立たねば、どうしょうもない。
”次はお前が・・”と昇格人事を匂わせて人を動かす本家の会長。
本家ではペコペコしても、我が組に帰ればえばりちらす直参組長。
この図式が笑える。

「今の時代、金より出世だ。」と言っていた刑事も、最後は・・。

監督初出演ばかりのキャストでは、加瀬亮の存在感が光る。
とても「それでもボクはやってない」で演じたひ弱な青年とは思えぬ変貌ぶりに驚く。

北野武監督が、原点に戻りながらも格差社会を痛烈に斬った意欲作。