「雨あがる」（２００１年）、「阿弥陀堂だより」（２００２年）の小泉尭史監督＆寺尾聡主演コンビの最新作。この３作品で、美しい自然と心温まる作風がすっかり定着したようだ。
「阿弥陀堂だより」では、信州の四季を丁寧に描いて、ドラマに奥行きを与えていたが、今回も同じ信州が舞台、春の息吹きを美しく描写している。
小泉監督は黒澤明監督のもとで助監督として育ったようだが、「野菊の如き君なりき」など信州を舞台に叙情的な作品が多い木下恵介監督に近い作風なのかもしれない。
静かで、ゆったりとした映画である。ハリウッドの強力なパワーに圧倒され続けているとき、これはこれで貴重な映画なのかもしれない。人間描写がやや平板なのが惜しい。
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