映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

ヒッチコック監督は最強です

f:id:uramado59:20190127112830j:plain

これまで5000本もの映画を観てきた。
その中でも、繰り返し観ているのが、小津安二郎監督とアルフレッド・ヒッチコック監督という二人の映画職人の監督作品。

このブログに移行して、過去のヒッチコック監督の記事をチェックしようとしたが、私の記事の分類「カテゴリー」一覧を表示している場所がない。
だが、新しい記事を投稿すれば、その記事に「カテゴリー」を表示出来ることが分かった(この記事タイトルの下にある「ヒッチコック」がそれです)。
また、「検索」で記事も楽に検索できるようになっていた。

 ヒッチコック監督は最高です。
下記の記事を「カテゴリー」からチェックしてして、監督の力量と魅力を堪能してみてください。

ヒッチコックのこれ1本「裏窓」
ヒッチコック監督作品の予告編
ヒッチコック監督作品のポスター
ヒッチコックカメオ出演・ベスト5
市川崑ヒッチコック

 

 

 

 

2018年のベスト映画10本

毎年恒例のベストテン。

これまで年末にアップしてきましたが、昨年末はブログ引っ越し作業で休止していたので、遅れましたが掲載します。

 

f:id:uramado59:20190123210029j:plain

第1位ボヘミアン・ラプソディブライアン・シンガー監督)
フレディの生き様がしっかり描かれているので、
最後のライブシーンで一気に感情移入し、爆発する。

  
 
 

f:id:uramado59:20190123190343j:plain

第2位カメラを止めるな!上田慎一郎監督)
映画というのは面白い!と唸らせ、誰もがそれを認めた。
その功績は大きい。

 

f:id:uramado59:20190124112954j:plain

第3位スリー・ビルボードマーティン・マクドナー監督)
暴力、差別、憎しみ、怒り・・
立場の違う者たちの行方を探りながら深い思索の渦に。

 

f:id:uramado59:20190124112545j:plain

第4位「シェイプ・オブ・ウオーター」ギレルモ・デル・トロ監督)
大好きなギレルモ・デル・トロ監督お得意のダーク・ファンタジー
優しい、美しい。

 

f:id:uramado59:20190124112609j:plain

第5位リメンバー・ミー(リー・アンクリッチ監督)
死者の国を扱いながら、明るく、快活に。
予想を超える展開がアニメならでは。

 

f:id:uramado59:20190123210115j:plain

第6位孤狼の血白石和彌監督)
深作「仁義なき戦い」には血が騒いだ、それを再び。
今また、時代が熱き男を求めている。

 

f:id:uramado59:20190124112725j:plain

第7位日日是好日(大森立嗣監督)
“世の中にはすぐ見えるものと見えないものがある”
だから人生おもしろい。

 

f:id:uramado59:20190123210045j:plain

第8位15時17分、パリ行きクリント・イーストウッド監督)
災難や事故は突然やって来る。
このあたりまえのことを、当人たちが映像で再現してみせた。実録の重み。

 

f:id:uramado59:20190124112639j:plain

第9位モリのいる場所沖田修一監督)
絵を描く場面がない見事な画家の映画。
国立近代美術館で見た熊谷守一展が鮮明に蘇る。

 

 f:id:uramado59:20190124112658j:plain

第10位万引き家族是枝裕和監督)
血のつながっていない家族を通して、
偏見や社会規範に囚われた我々に痛烈な問題提起をする。

 

 

 

「ボヘミアン・ラプソディ」

バンド名の「クイーン」は知らなかった。
だから題名の意味(曲名と)も知らなかった。
でもこの映画を観れば、凄いバンドで、凄い曲ばかりと納得だ。
最後のチャリティコンサート“ライブエイド“を再現したシーンで、興奮は最高潮に。
大観客と共に素晴らしいライブを体感できる。

従って、この映画は大画面で、音響の良い劇場で、館内では中央の席で観るべきです。

ユージュアル・サスペクツ」で有名なブライアン・シンガー監督は、伝記映画の王道で主人公フレディー・マーキュリーの生きざまがしっかり描いている。
だからこそ最後のライブ場面に感動するのである。

「日日是好日」


黒木華樹木希林多部未華子の初共演で描く、お茶の世界。
樹木希林を偲ぶに格好の作品。
お茶の世界と同じ、まさにじっくりと味わい深い映画だった。

エッセイスト森下典子原作は未読。
監督は、「まほろ駅前多田便利軒」「さよなら渓谷」の大森立嗣。

お茶室の場面が多いのだが、お茶室が、二十四節気にあわせて微妙に変化する庭の風景や空気感が捉えて、単調にならず、むしろ画面に引き込まれてしまった。
そして、静かに余韻を残して終わる。

冒頭に主人公が10歳の頃、フェリーニ監督のイタリア映画「道」を両親に見させられたが、何が良いのかわからなかったというナレーションがある。
それは私の体験と同じだった。
「道」は日本公開時の1957年、中学1年の時に観たのだが、傑作と言われていても正直よくわからなかった。
その後、高校生時代に観たときは感動、感動だった。
その時わからなくても、後に良さがわかることがある。

お茶の世界でも。
”世の中には、すぐ見えるものと見えないものがある”
そう、私自身も若い時には見えなかったものが、年齢を重ねると見えてきたものがいくつもある。
文楽、俳句、現代アート等々。
だから人生おもしろい。

海辺では、黒木華がジェルソミーナの仕草で”ザンパーノ”・・・

「マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー」


ABBAのヒット曲で構成されたミュージカル「マンマ・ミーア!」の続編。

前作で描かれた母と娘、母と3人の元恋人との物語を交錯して描く。
だから、前作を観ていないと面白さは半減するので、未見のひとは前作を観てから劇場に行くことをおススメする。

この本作は、前作よりも楽しい、ハッピー度も、完成度も高い。
まず、過去と現在の画面づくりが秀逸。歌う場面の交錯ぶり、見事なつなぎカット、気分は二倍に。
次に、ミュージカルの肝であるABBAのヒット曲が前作よりも多く、バラードも効果的に使っている。
もちろん「マンマ・ミーア」、「ウオータールー」、「ダンシング・クイーン」等の名曲は今回も健在。

前作は傑作舞台を映画化したものだが、その映画版の続編であり、その舞台化は不可能だし、3作目はありえない。
これは映画でしか味わえない続編ミュージカル。

もう一度音響の良い映画館で観るぞ!

小津安二郎監督「麦秋」

立秋を過ぎる頃になると、小津安二郎監督の映画が観たくなる。
そこで「麦秋」「彼岸花」「小早川家の秋」の3本を鑑賞。

これまで繰り返し観ている監督作品はヒッチコック監督なのだが、年齢を重ねると小津監督のほうが多くなっている。

麦秋」は、NHK・BSで録画しておいた「デジタル修復版」。
修復版にある英語タイトルは「Early Summer」。
そう、「麦秋」は麦の収穫期で季節的には初夏。夏の季語。

いつものように原節子の縁談をめぐるホームドラマ
原節子が「紀子」という名の役(同一人物ではない)を3作品にわたって演じた、いわゆる「紀子三部作」の2本目にあたる作品である。

紀子三部作での笠智衆の役が、
「晩春」では、原節子の父親役
東京物語」では、原節子のお舅役(写真前列にいる東山千栄子との老夫婦役)
だが、「麦秋」では、原節子の兄の役。両親よりも原節子の結婚を心配して動く役なので、ここは笠智衆登場ということか。「晩春」の父親役から一気に若作り。

紀子の結婚を機に、老夫婦は大和に隠居することになる。
映画のように3世代7人同居(写真)が普通だった時代に、はやくも核家族化の時代がくる予感が描かれているのだ。

ラストシーン、その大和の麦秋の風景描写が、いい。
さわやかな風と夏の訪れを感じさせながら、さわやかに映画は終わる。

小津作品は、落ち着いた画面構成、衣装や小道具の品の良さ、独特のユーモアに味わいがあって、観るたびに、またも”巧いな〜”と感嘆してしまう。

 

過去ブログ「小津監督の秋」
http://d.hatena.ne.jp/uramado59/20150919